AQUA ZESTは、ライフサイエンス(生命科学)の知見をベースに、ヒトが持つ自己再生能力を最大限に引き出す、
世界で唯⼀の新しい医療技術である先制的自己再生医療の実現を目指しています。そのために、細胞内小器官のミトコンドリアを
薬理標的にして、化学物質からなる薬に比べてはるかに安全かつ簡便に使用できるメディカルガスを用いた、自己再生促進因子、
MAC(ミトコンドリア活性組成物)の研究開発を行っています。
Clinical Trial Dataでは、非侵襲性の変形性膝関節症、大腿骨骨頭壊死症例、糖尿病、リウマチ等の自己再生促進因子による
先制的自己再生医療の成果をご覧になれます。
Application Possibility 農業部門として、農業分野での展開について要約してあります。ミトコンドリアは植物にも存在し、
重要な機能を果たしていることから、MAC(ミトコンドリア活性組成物) を植物⼯場⽤の液肥などに応用し、
植物の育成促進や発癌リスクのある亜硝酸態窒素の軽減などを目指して研究中です。
先制的自己再生医療
Pre-emptiv self ¯regeneration medicine
先制的自己再生医療とは、病態を予測し、発症もしくは重症化を予防するために、再生医療研究の中心的存在である幹細胞にこだわらず、
自己再生が起こる能力(自己治癒能力)で内在性細胞に働きかけ、組織及び機能を再生させる、世界的に新しい医療コンセプトのことです。
いわゆる「再生医療」は、体外で調整した細胞を患者に移植し、大きく損傷もしくは重症化した臓器や組織の機能再生をさせる医療です。
世界中で、損傷した臓器・組織を機械のパーツのように入替える再生医療を目指して研究が行われてきましたが、一部の組織を除き、
臓器を人工的に構築できた例はありません。細胞シートの積層化や脱細胞化技術、3次元プリンター、自己組織化技術、胚盤胞補完法
などのアプローチにより臓器作製の研究も行われていますが、決定的な技術とはなっていません。
わが国は、世界に先駆けて少子高齢化が急速に進展し、また、医療費・介護費は税収額と肩を並べる水準にまで達しています。
従って、医療費の抑制と高齢者の「健康長寿」の実現が重要です。再生生医療の実現には膨大なコストがかかることが予想され、
⼀般医療として普及するかには疑問があります。それよりも、自己再生促進因子等の細胞を用いない介入技術であれば、
治療コストの低減が期待され、一般医療として普及する可能性が高く、究極的な医療費・介護費の抑制につながるものと期待できます。
ここでの「先制医療」とは発症予防・遅延のみならず、重症化予防も含めた医療コンセプトである(赤領域)。一方、「再生医療(狭義)」とは、体外で調整した細胞を患者に移植し、大きく損傷もしくは重症化した臓器や組織の機能を直接代替し、機能再生させる医療を指す(青領域)。すなわち、移植細胞からの分泌物等による内在性細胞賦活化による再生(自己再生)は含まない。
「現行の再生医療」は、対象部位によって「狭義の再生医療」を実践できているものもあれば「自己再生」によるものもある(緑枠)。
「現行の再生医療」の介入時期をより早期にシフトさせることで、「先制的自己再生医療」を確立し、より治療効果の高く安価な医療を確立する(黄枠)。
参照
先制的自己再生医療の確立に向けた基盤的研究の推進~これからの再生医療研究のあり方~
平成26年3月 独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センターライフサイエンス・臨床医学ユニット
自己再生促進因子
Self-renewal promoting factor
我々の手には、現在2種類の自己再生促進因子があります。
MAC(ミトコンドリア活性組成物)
第一の因子は、MAC(ミトコンドリア活性組成物・Mitochondria Activating Component)と名付けられた、ミトコンドリア活性を促進する
という臨床結果を有する*メディカルガスです。それは、高度な自己修復能力を持つ生物が多数生存していた古代の地球を覆う大気成分を
想定させる様な、酸素、窒素、水素で構成されています。ミトコンドリアはエネルギー(ATP)産生や活性酸素生成に関わり、
それを介し「分化や増殖」を制御している可能性が高いとされています。また、自己再生に関わる分泌因子・サイトカイン等の分泌に
関わっていると言われています。我々が開発したMACは、iPS細胞を始めとして、ES細胞、線維芽細胞などの分裂を強く促進するという
データが得られています。
また、ラットでのMAC投与実験を行った結果、免疫細胞(B細胞、T細胞、NK細胞)の数に顕著な増加が認められました。とくに、
NK細胞数は、MAC投与前後比で3.5倍にまで増加しました。
MACは、ミトコンドリアを活性し、広義の細胞増殖因子、自己再生促進物質としての機能が推測されます。MACは、水に溶存させた
飲用水での腸壁吸収か、静脈注射液あるいは輸液製剤として血中に入り、全身の隅々の細胞にまで達してATP産生を上げます。
その結果、内在性細胞で細胞の増殖・分化が適切に誘導され、インスリンやオステオカルシンなどのホルモンの働きをする
タンパク質などの分泌が促進されます。
また、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)の活性を通じた、セロトニンを始めとした神経伝達物質の生成促進、免疫の亢進に
関与することも想定されます。
以上より、MACは、体が本来の機能を取り戻すことを目的とする、自己再生医療に有効である事が伺えます。
*註:メディカルガスとは、生体が作り出すホルモンやタンパクなどのように生理活性を生体に惹起するガス分子のことを指します。その一例としては、
狭⼼症療薬のニトログリセリンの薬理効果(血管拡張因子)の原因物質であるNO(一酸化窒素)があります。
BRF(骨再生因子)
第二の因子は、母なる海に住む貝殻を形成するタンパク質から生まれ、貝殻(炭酸カルシウム)とヒトの骨(リン酸カルシウム)
という異なる構成成分の垣根を越えて、ヒトの骨の再生をもたらす成分(MPP1・MFP25)で、骨再生因子(BRF:Bone Regenerative Factor)と
名付けました。
またこのタンパク質は、レアメタルの安価な選鉱素材としての可能性も秘めています。
What’s Mitochondria?
先制的自己再生医療とミトコンドリア
The pre-emptive self-regenerating medicine and mitochondria
ミトコンドリア研究の世界的権威、ニック・レーン博士の本の書き出しはこうだ
「ミトコンドリアは、開きかけた秘密の箱だ」
原題 Power, Sex, Suicide: Mitochondria and the Meaning of Life (OUP 2005)
邦題 「ミトコンドリアが進化を決めた」P2より引用
著者 Nick Lane(ニック・レーン)、OXFORD UNIVERSITY PRESS(オクッフォード大学出版)、みすず書房
ミトコンドリア、多くの人はどこかでこの名前を耳にしています。そのサイズは非常に小さく、1粒の砂の中に10億個は収まる
細胞内小器官です。我々の体中には天文学的な数のミトコンドリアがいて、体重の10%占め、生きるためのエネルギーの90%以上を
生み出しています。
つまり生命の「発電所」、多量のエネルギーを消費する脳や心臓、そして卵子はミトコンドリアの塊です。例えば、卵子のミトコンドリア
活性が上がれば、受胎の確率も上がります。線維芽細胞(ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンの産生に関わる)のミトコンドリアが活性すれば、
肌のハリや弾力、潤いがアップするでしょう。体全体のエネルギー量が上がれば、スポーツの持久力のアップやリカバー、脂肪の燃焼も
早くなる。血管内のミトコンドリアが活性すれば、一酸化窒素(NO)が産生され血流が改善します。肝臓、腎臓のミトコンドリアが
活性すれば、解毒の作用も早くなります。膵臓の膵β細胞のミトコンドリアの劣化が改善すれば、インスリンの分泌量も改善します。
骨芽細胞のミトコンドリアが活性すれば、オステオカルシンの産生が亢進され、軟骨再生はもとより、膵β細胞でのインスリン産生促進、
癌細胞のアポトーシス(積極的・機能的細胞死)亢進、免疫増強、細胞内での遺伝子修復、老化防止促進、その他諸々、ここでは
書ききれないほど多くのヒトの生理活性が向上します。しかもこれは「まだ開きかけた秘密の箱」です。
しかし、確実にわかっていることは、若さや健康の維持や運動機能は、ミトコンドリアが活性する時に、その能力が最大になるという
事実です。
つまり、外部からの細胞移植を行わずに自己再生促進因子を用いる*先制的自己再生医療において、例えどのような自己再生促進因子を
使うにしても、ヒトの内在性細胞のミトコンドリアの活性化は、絶対的な薬理標的なのです。
*註:先制的自己再生医療:ヒトの内在性細胞に働きかけて組織・機能を自己再生させる先端的な医療
What’s medical gas of mitochondria activating component?
老化と病気に挑戦せよ
Challenge to aging and disease
MAC(Mitochondria Activating Component)は、弊社が自己再生因子として開発し、食品衛生法上の既存添加物として安全性が確認
されている、酸素・窒素・水素(O2・N2・H2)の3種類のメディカルガスの混合で構成され、細胞内小器官であるミトコンドリア内の
電子伝達系に作用して、ミトコンドリアでのATP産生を促します。
通常、人は、酸素は呼吸から、窒素は食物から、水素はマイクロバイオーム(腸内細菌叢)での生成物として摂取しています。
水素に関しては、抗生物質や食品添加物によるマイクロバイオームの汚染のために十分な機能が発揮できておらず、
酸素について言えば、近年の高齢化に伴う肺機能の低下で摂取量が減少し、また、ストレスによる交感神経優位の身体の緊張から
血管が縮小し、酸素運搬機能の低下から、各細胞組織の酸素摂取量が減少する傾向にあります。それらが発癌のリスクを上げている
とする説もあります。一方で、1956年に、アメリカのハーマン博士による「フリーラジカルセオリー」が発表されて以来、
「活性酸素による体内の酸化」が、癌を始めとする多くの生活習慣病や慢性疾患、老化そのものの大きな要因であることが
これまで通説となっていました。
しかし、体の免疫系は活性酸素を使って癌やウイルスを攻撃します。また、最近の多くの研究成果として、人体は有益な生理活性物質として
積極的に活性酸素を産生しており、また、活性酸素は、細胞に生じた傷害の修復を助ける遺伝子の発現を高めるとも考えられ始めています。
このことから考えると、運動は活性酸素を生じるが体に良いのではなくて(運動のパラドクス)、活性酸素を生じるから体に良いと言えるのかも
しれません。また、活性酸素は老化に関与する可能性があるものの、老化現象の全てが活性酸素によって解釈できるという短絡的なものでは
ないこともわかってきました。すなわち、活性酸素は細胞の置かれた状況に応じて量やタイプが変化し、細胞・組織の環境に対応して色々な
役割を演じるのです。それを外部から確認することは不可能です。このことを考慮せずに、無意味に高濃度の抗酸化物質を摂取することは、
体内での過剰な還元をもたらし、身体が自ら行う生きるために必要な酸化と還元のバランスを崩すことにもつながる可能性があります。
*米国心臓病協会、*米国糖尿病学会は、一部の治療目的以外で、抗酸化サプリメントを摂るべきではないとコメントしています。
また、*米国立ガン研究栄養学部門の研究者は、抗酸化物質について、「私たちは実際には有害である可能性を強く意識するようになって
いる」との評価を下し始めています。
*註:これら3組織からのコメントは「The Myth of Antioxidants, SCIENTIFIC AMERICN, February 2013」に記載されています。
過剰な抗酸化物質の摂取が、体内の機能制御や細胞の分化に悪影響を及ぼすとするならば、我々はどのようにして老化と加齢がもたらす
病気に挑戦すれば良いのでしょうか。
MACの人体への作用機序
Action mechanism of MAC for our body
そこで、ミトコンドリアの働きに注目が集まっています。生物学者Nick Lane(ニック・レーン)は長寿の秘訣をこう言います。
「ミトコンドリア、分裂しろ!」と。
原題 Power, Sex, Suicide: Mitochondria and the Meaning of Life (OUP 2005)
邦題「ミトコンドリアが進化を決めた」 P441より引用
著者 Nick Lane(ニック・レーン)、OXFORD UNIVERSITY PRESS(オクッフォード大学出版)、みすず書房
我々は、iPS細胞やES細胞の培養促進やマウスの免疫細胞増強などの実験データから、体に過剰な酸化、還元を起こさせずにミトコンドリア
活性を最大にするためのO2とH2の厳格な量比を見出し、1京個に達する体中のミトコンドリアに電子伝達系で生命の通貨ATP
(アデノシン三リン酸)を作らせるMACを開発しました。
MACは、水に溶存させた飲用水での腸壁吸収か、静脈注射液あるいは輸液製剤として血中に入り、全身の隅々の細胞にまで達して、全身の
ミトコンドリアのATP産生を上げ、細胞分裂を促進します。それはあたかも、「ミトコンドリア、分裂しろ!」と叫んでいるがごとくに、
健全なミトコンドリアの量を増やします。それと同時に、MACに含まれている窒素が、血管内皮細胞のミトコンドリア活性を上げて
血管拡張因子である一酸化窒素(NO)を合成します。NOは活性酸素の一種ですが、動脈硬化症などの血管系や循環系の疾患から人体を
守ってくれる作用と、血管周囲の平滑筋を弛緩させ、動脈を拡張させて血流量を増やして血行を改善します。これにより、全身にくまなく
行き渡わたったMACは、末梢の微細血管の拡張はもとより、臓器細胞のミトコンドリアに作用し、ATPと活性酸素除去酵素(SOD)の
産生を促進します。SODは、ATPの産生時に生まれる不要な活性酸素の除去に使われ、酸化と還元のバランスを整えます。これらATP、
SOD、NOの作用により、脳や心臓などの臓器細胞、骨・軟骨、卵子の増殖・活性化がもたらされ、その結果、皮膚や筋肉、骨を含む
全身の組織・器官やマイクロバイオームの活性が上昇し、神経、免疫、内分泌のバランスが保たれ、体内細胞や組織の自己再生が促進
されます。
What’s Mitochondria Activating Component Therapy?
自己再生能力を用いた新しい医療技術
New medical technolog y using the self ¯replication capacity of our body
MAC Therapy(ミトコンドリア活性組成物療法=メディカルガス療法)では、患者の身体および心理面での状態を検討後、MACを溶存させた
飲料を日常飲用するとともに、治療効果を高めるために、患者の体調に応じた食事療法、週2回以上のAtmospheric Pressure Variation Therapy
(気圧変動療法)、 Magnetic Therapy(磁気療法)等を行います。また、これらの処方にに対するバイオメカニクス的補完として、
*Medical Shoes(医療靴)を開発しました。
*註:Medical Shoes(医療靴):脚の筋⾁量を落とさずに関節に対する負荷を分散させる事はもとより、⾜部減捻作⽤により、⾜部⾎流および下肢全体の⾎流が改善されて
浮腫軽減効果が認められる。また、解剖学的に⾎流が極めて悪く、通常は⼿術適応となる難治性のJones⾻折が、⼿術やギブス装着も不要で、短期間の靴装着のみで歩⾏
しながらでの治療が可能となる。
臨床状況概要
ミトコンドリアの機能を亢進させ、ATP産生の活性化が有効とされている病気
Contents
ヒトにおけるMAC飲用効果の検討
実験動物生体と細胞を用いたMACの作用の解析
貝殻成分(MPP1・MFP25)を用いた骨再生実験
自己再生型医療による骨・軟骨再生の臨床報告
Clinical report of regeneration of bone and cartilage with the self-regenerative medicine
このレポートでは、変形性膝関節症(膝OA)と大腿骨骨頭壊死症へのMAC Therapyの適用による治癒例を明らかにし、この療法が、ヒトの
持つ自己再生能力を最大限に引き出す世界で唯一の新しい医療技術であることを示すものです。
とくに、現代医学では再生しないとされている軟骨の変性を伴う変形性膝関節症(膝OA)へのこの治療法の適用は、現代医学の常識を
大きく変え、全人類に貢献できる非侵襲性の革命的医療技術であると言えます。
また、本療法は、適切な治療効果を持ちつつ適正なコストにおさまる医療技術として、医療費の抑制と高齢者が健康で社会貢献できる社会
とが両立できる「健康長寿」を実現させる治療法であります。
一方、この療法をもってしても重症化に至るケースのみを対象として、細胞や組織、臓器そのものの機能を代替するために、人工物置換や
再生医療を適用する手法が、将来的に有益な医療の姿として描くことができると考えます。
また、これまでの*研究において、変形性膝関節症(膝OA)は白人の死亡率増加と関連していることが示されています。膝OAの有病率は
白人より中国人で高いものの、中国人において膝OAと死亡率との関連を調べた研究はないことから、中国・北京大学人民医院の
Liu Qiang氏らは農村の住民を対象に調査を行いました。その結果、症候性膝OAを有している場合、全死亡のリスクが高まることが
明らかとなりました。
*註:Osteoarthritis and Cartilage July,2015
特発性大腿骨骨頭壊死症
Idiopathic Osteonecrosis of Femoral Head(ION)
病理
股関節の病気の一つで、大腿骨の上端の大腿骨頭の骨組織が血流の低下により壊死し、関節が変形・破壊される病態で、原因には血中の脂肪、
血管の異常、血液の凝固異常説があり、発症のメカニズムは正確には解明されていません。このため、これといった予防策は今のところ
ありません。
この病気の初期においては、歩行時、階段の昇降時などの痛み、進行すると安静時においても持続的な痛みを生じ、鎮痛剤が必要となります。また、変形に伴い関節の動く範囲が狭くなり、跛行を生じたりします。厚生労働省の特定疾患に指定されています。
疫学
厚生労働省研究班の2004年の全国疫学調査では、本邦における特発性大腿骨頭壊死症の年間受療者数は約11.400人と推定されています。
背景因子としては、ステロイド服用とアルコール関連が全体の85%を占めています。発症年齢は、男性40歳代・女性30歳代で、
男女比は5:4です。
治療
特発性大腿骨頭壊死症の進行例は、人工骨頭置換や人工関節置換手術にほとんど移行するもので、難治性疾患に指定されています。
保存療法としては、杖よる免荷、生活指導、鎮痛消炎剤の投与が行われますが、これらの方法では病気の進行防止が大きくは期待
できません。このため、人工関節置換術が必要になる可能性が高くなります。ただ、人工関節置換術は人工物自体に耐久性が低く、
将来、再置換術が必要になることもあるという問題があります。
考察
人工骨頭置換や人工関節置換手術を用いず、MAC Therapyで治癒に到るのは画期的です。この治療法は、何らかの原因で血流が阻害された
骨内深部に血行を再建できる可能性を、血管移植を用いないでもたらすものとして、今後、研究を重ねて治験を増やしていく価値のある
ものと考えます。
38歳男性 右大腿部骨頭壊死・改善例
乗用車を運転中して坂道を下り降りている際に、交差点で信号無視の車が右側面より侵入、急ブレーキをかけたが間に合わず衝突し
受傷しました。この事故以後、右股関節の疼痛が続き、レントゲン上では骨折は認めませんでしたが、MRI-CT検査にて骨頭下骨折
による骨頭壊死と診断されました。手術を勧められましたが保存的治療を希望され、MAC Therapyでの治療を行いました。
(2013年2月3日)
考察
●受傷後9か月を経て、症状が持続している大腿骨頭骨折に続発して発生した骨壊死が、約8週間で顕著に改善したことは驚嘆に値します。
●MAC Therapy療法が短時間での組織修復に効果をあげたものと推察します。
●今後、この治療法が組織の修復に優れた効果を持つ可能性のあるものと期待できます。
変形性膝関節症
Osteoarthritis(OA)
病理
加齢、肥満、けがなどにより、関節軟骨の変性・磨耗で、関節痛の症状が起こる進行性で関節が変形する疾患です。軟骨は主として
無血管性で、常在細胞がコラーゲンやプロテオグリカンに富む密なマトリックス内に隔離されているため、自己修復能力がありません。
海外での50歳~60歳の6691人の女性を対象としたグルコサミンの内服は、摂取と発症に関し有意な影響はなく、発症予防の効果は証明
されませんでした。
疫学
本邦には、X線上の変形性膝関節症(膝OA)患者が2400万人、腰椎OA患者が3510万人いると推測されて、50歳代で発症し、65歳以上で急増、
女性に多く、患者数は年々増加しています。厚生労働省の2004年度国民生活調査によると、要介護原因疾病の6.1%を占めて、4番目に多い
病気です。要支援の原因としては、関節症が17.5%を占めて要介護の原因となる最も多い疾病となっています。病気が進行するに従い、
歩行可能距離が制限されるようになり、日常生活や動作も障害されるロコモティブシンドローム(運動器症候群)の原因疾病として、
高齢者のQOLを維持する上でその予防が重要な課題とされています。
治療
現時点でのOAの治療は対処療法のみで、痛みなどの症状を取り除き、日常生活の幅を広げるための保存治療と手術治療しかありません。
考察
MAC Therapyは、損傷消失した軟骨は再生しないとする現代医学の常識を打ち破るものです。この療法の実例として、膝痛のため階段昇降が
全くできなかった患者が、この処方後に階段の昇り可能となり、疼痛により歩行困難であった患者の平地での歩行可能時間が5分程度から
30分以上に伸びた、などの効果が報告されています。このように、MAC Therapyは患者のQOLを上げ、高齢化の病理に対応する全く新しい
治療法としての可能性を秘めています。
自己再生型医療による糖尿病改善の臨床報告
Clinical report of improvement in diabetes with the self-regenerative medicine
*MAC Therapyの糖尿病に対するアプローチには以下の3点があります。
1. MACを投与し、膵β細胞のミトコンドリアの機能亢進、維持を治療標的とする。膵β細胞のミトコンドリアの機能低下によるインスリンの
分泌量が減少に対しては、⾎流でMACを膵臓に誘導し、MACにより活性化した正常な膵β細胞のミトコンドリアで劣化したミトコンドリアを
除去・誘導し、代償的に正常な膵β細胞のミトコンドリアを増加させ、ATP産生の亢進からインスリンを賦活させます。
2. MACによる肝臓の糖鎖生成機能の亢進による糖転移酵素のの賦活化。インスリンを分泌する膵β細胞表⾯には、⾎糖値を認識し、
血中のグルコースを細胞内に取り込む働きを持つグルコーストランスポーターと呼ばれるタンパク質が存在しています。
このグルコーストランスポーターにより、グルコースが細胞に取り込まれて血糖の上昇が認識されると、それに応じたインスリンが分泌
されます。グルコーストランスポーター表面には糖鎖が付加されていて、この糖鎖が、このタンパク質の正常な働きを制御して血糖値の
恒常性維持に深く関与していることが分かってきました。糖鎖の付加には特別の酵素(糖転移酵素)が関与しているため、この酵素が
欠損するとグルコーストランスポーターが安定的に働くことができず、血糖値の認識と糖の取り込みのメカニズムが損なわれて糖尿病を
発症します。このため、MACで肝機能を亢進させ、糖鎖生成機能を上げて糖転移酵素の賦活化を行って糖尿病改善に寄与することが可能
になると考えます。
3. MACによる、各臓器の内分泌からのインスリン誘導及び合併症の予防修復
骨芽細胞由来のオステオカルシンの亢進
オステオカルシンは骨を形成する細胞である骨芽細胞が分泌するタンパク質で、代謝調節および骨形成促進性に働くと考えられています。
MACは、骨芽細胞のミトコンドリアに働きかけてオステオカルシンの機能を亢進させると考えられるため、骨や軟骨再生に関与している
可能性のあることが明らかになりました。オステオカルシンは、脂肪細胞にインスリン感受性を向上させるアディポネクチンを産生させる
ホルモンとしての作用も併せ持っています。オステオカルシンを飲み続けたマウスの膵臓では、インスリンを合成・分泌する
ランゲルハンス島がβ細胞の増殖により増大していることが判明し、それに伴ってインスリンの分泌量も増えていたとの報告もあります。
小腸L細胞由来のインクレチンの機能亢進
小腸から分泌されているインクレチンはインスリンの分泌を促すホルモンで、血糖値が上昇した時のみにインスリンの分泌を促進して血糖を
降下させます。さらに、不適切なグルカゴンの放出を抑える働きがあります。グルカゴンとは、膵臓の膵α細胞から分泌されるホルモンで、
肝臓に作用してインスリンとは逆に血糖を上げます。健常者の場合、血糖値が上がるとグルカゴンの放出は止ますが、2型糖尿病の場合は、
高血糖になってもこのグルカゴンが放出され続けてしまいます。インクレチンは、このグルカゴンの放出を抑える作用を持っています。
血管内皮細胞由来のNO(一酸化窒素)の産生促進
MACは、NOの産生を血管内皮細胞のミトコンドリアから誘導します。NOは糖尿病由来の、糖尿病性⾎管合併症の病理の進行の阻害、
修復に効果があります。(「MAC飲用による糖尿病性血管病変の改善の臨床報告」参照)
*註:MAC Therapy では、健全な膵β細胞のミトコンドリアの存在が多少とも必要になりますので、完全に組織が崩壊した場合は、外部からの膵β細胞移植による
再生医療の対象となります。
MAC服用による糖尿病改善例
Improvement example of diabetes mellitus from ingestion of MAC
81歳女性II型糖尿病
平成20年2月発症、Ⅱ型糖尿病。内服薬、生活指導が中心で治療経過を診ていました。内服薬はスルフォニル製剤であるダオニール1.25mg
(3錠分3後)および食後過血糖改善剤ベイスン0.2mg(3錠分3前)を内服。合併症として高脂血症、軽度腎機能低下を認めていました。
高脂血症にはアトルバスタチンカルシウム製剤10mg眠前に内服されていました。
症状経過I
平成20年2月発症後は、随時血糖値200〜300、HbA1c7.0〜8.0で推移していました。平成26年4月左大腿外側筋痛を発症、歩行時に強い痛み
を生じ、安静時に無痛となる症状で、精査の結果大腿外側広筋への血流障害と診断されました。5月4日よりMAC500ml/日服用を開始
しています。
症状経過II
5月8日より5月16日まで、さらに9月1日より6日まで、入院の上ウロキナーゼ点滴静注による血栓融解療法を行いました。上記の間を含め
現在に至るまで、500ml/日の飲用を継続中です。その結果、HbA1cが、MAC飲用前の2014/1/8に7.8であったものが2014/9/1に5.8と改善
しました。内服量は同じで4年間変化がありませんでした。MACの影響は否定できませんでした。
MACの糖尿病治療薬(スルフォニル尿素薬=SU薬)に対する優位性
One of the superiority of MAC over the sulfonylurea drugs for diabetes
現在、膵β細胞に働きかけてインスリンを分泌促進させるものとして、糖尿病内服治療薬のスルフォニル尿素薬(SU薬)があります。
MACとSU薬とも、膵β細胞に働きかけてインスリン分泌を促しますが、MACは、劣化した膵β細胞の自己再生を促してミトコンドリアの活性
を上げ、インスリンの自発的な分泌を促すという自己再生医療としての糖尿病の根本的治療に結びつくものです。これに対してSU薬は、
化学的変化をベースとした膵β細胞でのインスリンの強制的な分泌を促すという薬理 効果のみに基づく治療法です。このように、両治療法の
間には大きな違いがあると考えられます。
MACは、膵β細胞のミトコンドリア活性の修復状態の個人差と修復組織の機能的な限界があるため、投与後にHbA1c値に一定程度の改善を
見た後は、正常値の上限付近で横ばいとなる傾向があり、数字の変化も緩やかです。これは、SU薬に代表される薬理効果の大きい
インスリン分泌促進薬剤の長期投与時の、膵臓の劣化や低血糖による死亡率増加の危険性を下げるというMACの薬理効果の優位点であり、
自己再生因子としての特徴です。
つまり、病理の急性期や極めて重篤な状態時の医薬品との併用が可能で、慢性期や安定期における医薬品の副作用からの減薬の担保として、
薬品との組合わせ治療において効果を発揮できると考えます。
MAC 飲用による糖尿病性血管病変の改善の臨床報告
Clinical report of improvement in vascular lesion by diabetes from ingestion of MAC
糖尿病には合併症が多いことが知られていますが、その中でも、血管障害を原因とする糖尿病腎症、糖尿病網膜症、糖尿病神経障害は
三大合併症と呼ばれています。高血糖状態が続くと血管が傷害され、血管がもろくなって適正な栄養が各器官に供給できず、血管以外
でも、体全体を網羅する神経を始め、全身の臓器にまでさまざまな障害を引き起こします。
MACは、血管内皮細胞のミトコンドリアを活性化し、NOの産生を促進します。それにより、毛細血管の伸長が生じて全身の血管面積の
70%を占める毛細血管の組織との代謝物の移送交換がスムーズとなり、組織の老廃物が速やかに血管内に吸収されるようになります。
その結果、組織が浄化されて皮下の浮腫は軽減し、自由水の移動が活発となって活性酸素の発生が抑制され、老化傾向の細胞の若返りが
起こります。
80歳の糖尿病性両下肢閉塞性動脈硬化症に併発した難治性の深部静脈血栓症が、MACの飲用後に改善傾向を示した症例の環指毛細血管像と
MRI血管撮影像を供覧します。(糖尿病自体はSU薬でコントロール下にあります。)この症例では、静脈血栓症の指数としてのDダイマー
とTotal-PAI-1のデータが改善しており、血栓の縮小がデータとして裏付けられています。ヒラメ筋・後脛骨筋肉組織内の静脈のうっ血・
血栓症が改善され、両下肢全体の浮腫が軽減しています。
80歳 糖尿病性両下肢閉塞性動脈硬化症MAC飲用による両下肢深部静脈血栓症の改善
80 years old patient with diabetic arteriosclerosis obliterans of the both legs
Development of the deep seated intravenous thrombosis of the both legs from ingestion of MAC
環指毛細血管像(左環指⽖根部⽪膚⽑細⾎管顕微鏡撮影)
MAC服用による動脈硬化改善例
Improvement example of arteriosclerosis from ingestion of MAC
81歳女性 両下肢閉塞性動脈硬化症
平成23年春より、両膝の骨壊死を伴った変形性膝関節症で通院していました。平成25年秋より、主に右下肢に浮腫を来すように
なりました。平成26年2月に、右下肢血栓血管炎で入院で血栓融解療法を行いました。平成26年3月よりMACを500ml/day飲用を開始、
浮腫の軽減、炎症の改善を認めたので経過を報告します。
結果
ABI値の変化において、MAC飲用後左側の値の改善が認められました。baPWVの推移では両側に改善が認められました。
まとめ
併用薬は、三月のMAC飲用以前からの抗凝固製剤は無く、5月より抗血小板凝集剤の投与を始めたので、この度の2014年5月24日のbaPWVの
改善についてはMACの影響が関与している可能性が大であると思われます。
このことから、この症例の動脈硬化改善には、MACの効果が関与している可能性があることが示唆されました。
自己再生型医療による関節リウマチ改善の臨床報告
Clinical reports of improvement in rheumatoid arthritis with the self¯regenerative medicine
リウマチ
MAC飲用により、MMP3の数値が1ヶ⽉で372.6から45.4まで改善した症例や、変形性膝関節症(Osteoarthritis:OA)でリウマチの合併症の患者の
軟骨組織の修復が見られるという寛解例が報告されています。
⼀般的には、関節リウマチ(膠原病)では、免疫⼒が過剰になって自己を攻撃するとの考えで、免疫抑制剤やステロイド剤などが使⽤されて
います。しかし、近年の臨床研究により、免疫⼒抑制状態で逆に症状が増悪することや、関節炎の原因となる顆粒球は、血流により⾻髄から
関節に濃集したものではなく、関節で直接作られていることなどが判明しています。また、関節リウマチ(膠原病)患者に対して免疫⼒抑制
治療を施すと、T細胞、B細胞(外来抗原型免疫系)の抑制が増強され、胸腺外分化T細胞、B-1細胞(体内監視型免疫系)の活性化が持続
することも明らかになっています。その結果、組織が破壊されて炎症は慢性化し、⾎流停滞、免疫⼒低下などから体内のウイルス増加が
さらなる顆粒球過多を引き起こして、関節の破壊が増悪・慢性化するというプロセスが考えられます。
一方、リウマチ患者と健常人とでは腸内細菌叢が異なり、治療により変化することが明らかにされています。腸内細菌とリウマチの症状に
強い関連性があることは、関節炎モデルマウスを用いた実験でも報告されています。また、交感神経が過剰に働くと顆粒球の数値が⾼く
なり、副交感神経が活発になるとリンパ球の数が多くなるという関係性も認められています。
ラットでのMAC投与実験で免疫細胞に顕著な増加が認められ、MACが腸の機能を高め、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)の活性化を
通じた、免疫力の亢進に関与することが想定されます。
以上のことから、MAC Therapyをリウマチ患者へ適用した場合、MACの機能でNOを産生させてストレス下の⾎流を改善し、副交感神経優位
の状態を作ります。それと同時に、MACのマイクロバイオーム(腸内細菌叢)活性化作用でT細胞、B細胞が増加してリンパ免疫系の賦活化
が起こり、症状が改善して寛解にまで繋がると推測されます。
41歳女性 慢性関節リウマチMMPⅢとγグロブリン値の改善例
Improvement example of MMPIII and γglobulin values in case of the 41 years old female patient of articular rheumatism
関節リウマチを両手関節、両膝関節に発症、2012年7月14日MMPⅢ876.58 γグロブリン21.3% CRP0.72メトトレキセートを内服するも、疼痛改善
は5割程度、2016年10月1日よりMACの服用を開始。飲用開始後症状が緩和し、2016年10月29日MMPⅢ45.4、γグロブリン17.9%と顕著な改善
を認めました。2017年現在StageⅡ、ClassⅠ、改善が続いています。
64歳女性 重度慢性関節リウマチ患者での膝軟骨再生例
Example of regeneration of the knee cartilages of the 64 years old female patient being affected by severe chronic articular rheumatism
重度全身性関節リウマチで全く立位が取れず、車いす常用、全人工関節置換術適応例。
2016年2月9日より入院でのMAC Therapy 開始、MAC500ml服用、一日二回のAtmospheric Pressure Variation Therapy (気圧変動療法)、
Magnetic Therapy(磁気療法)、針治療等を併用。5月6日には立位可となり、MRI検査で膝関節軟骨の再生を認めた。
5月9日よりTNFα人モノクロナール抗体療法を開始後、 さらに症状が改善し、7月8日に立位15秒間保持可能となり、車いすから
トイレ移動可能に至り在宅復帰に至りました。
MRI(T2-MAP)関節軟骨撮影
成人の関節軟骨は軟骨細胞と細胞外基質から成り、水分、コラーゲン、プロオグリカンなどを主成分としています。軟骨が変性すると、
コラーゲン繊維の配列が不規則となって水分含有量が高くなります。MRIマッピング画像では水分含有量が色付けされて示されるため、
軟骨の減少に伴って、緑や赤の色で示される部分が少なくなります。この逆に、軟骨が再生されると、画像上で、緑色や赤色部分の
面積が多くなります。
MAC服用による、酸化ストレスの消去・脂肪肝の改善・脂質過酸化抑制作用による改善例
Improvement examples of the oxidant stress, fatt y liver and excessive oxidation of lipid after MAC administration
実験1
ヒトが飲用した場合のMACが生体に与える効果を明らかにすることを目的とし、ヒトでの飲用試験を実施した。試験に参加したヒトは、
40~69歳(平均年齢51.8歳)の男性4名、女性1名であった。各々の参加者の年齢と性別を表1に示す。全ての参加者は健康な状態であった。
各々の参加者は、通常と変わらない生活を送りながら、MACを1L/日、4週間飲用した。参加者は、飲用開始前に血液を採取され、
飲用開始後4週間目に再び血液を採取された。採血の当日はMACを飲用しないこととした。検査は、肝障害の指標である
GPT(glutamic pyruvic transaminase)、過酸化脂質マーカーであるHEL(hexanoyl-lysine)、及び水溶性総抗酸化物質として
知られているSTAS(Serum total antioxidant status)について行った。
❶GPT
GPTは主に肝臓に存在する酵素である。肝細胞が破壊されると特異的に血中に漏出することから肝炎ウイルスや薬物などによる肝障害の指標
として利用される。この他、肝脂肪ではGOT、GPTの値が軽度の異常であることが多く、肥満による脂肪肝ではGOTよりGPTがやや高く
なることも知られている。GPTは、血清中の濃度をシリカリキッドALT試薬(関東化学株式会社製)を使用し、Bio Majasesty(JCA-BM8060)
(日本電子株式会社製)とオリンパスAU5431型生化学自動分析装置(オリンパス株式会社製)を用いて測定した。血清は、採取した血液を
凝固させて、遠心分離して分離し、回収した。測定結果を図1に示す。図1によると、被験者で、GPTの値がMACの摂取後に摂取前と比較して
明らかに減少していた(P=0.042)。これは、MACの飲用により、脂肪肝の改善が図られる可能性があることを示している。
❷HEL
HELは、活性酸素種による脂質の過酸化過程において、脂質ペルオキシド(13-Hydroperoxy-octadecadienoic acid,13-HPODE)に由来する安定な
初期生成物であり、従来用いられてきた4-HNEやMDA等のアルデヒド系脂質過酸化マーカーとは異なり、脂質過酸化の初期段階を捉える
ことが可能なマーカーである。HELは、血清中の濃度を、ヘキサノイルリジン測定用ELISAキット(KHL-700、日研ザイル株式会社製)を
使用し、全自動マイクロプレートEIA分析装置AP960(協和メディックス株式会社製)を用いて測定した。測定結果を図4に示す。
図2を参照すると、HELはMACの飲用後に有意に減少した(P=0.028)。この結果は、MACに、ヒト体内での脂質過酸化抑制作用のあること
を示している。
❸STAS
STASは、血清中の水溶性抗酸化物質であり、酸化ストレスに対する総合的な抗酸化能が測定可能である。STASは、血清について、
TOTAL ANTIOXIDANT STATUS(NX2332、RANDOX社製)を使用して、7020形日立自動分析装置(株式会社 日立ハイテクノロジーズ製)
を用いて測定した。測定の結果を図3に箱ひげ図で示す。図3を参照すると、STASは摂取後に有意に低い値を示していた(P=0.042)。
この結果から、STASは水溶性の抗酸化物質を総合的に評価していることから、MACにより酸化ストレスの消去効果が期待される
ヒドロキシラジカルや過酸化亜硝酸以外の活性酸素種の還元にMACが作用していることが推測された。
実験2
2名の被験者(O, I)にMACを1日500mL、1ヶ月間摂取させ、その前後 に血液検査を行った。
結果
①被験者 O…MACの摂取前の値を比較すると、摂取後ではALP(アルカリホスファターゼ)、ALT、γ-GTPで値が改善していた。
また、総コレステロール、 LDLコレステロール、遊離脂肪酸の値においても改善していた。
②被験者 I…MACの摂取前の値を比較すると、摂取後ではALP(アルカリホスファターゼ)、ALT、γ-GTPで値が改善していた。
また、総コレステロール、遊離脂肪酸、 中性脂肪の値においても改善していた。
2人の結果から総合的に判断すると、MACを摂取することにより、肝機能の改善が成されたことから、脂質系の臨床検査値が改善した
と考えられる。
MAC投与ラットでの免疫細胞の増殖率に関する解析(1)
Analysis on the proliferation rate of the immune cells in the MAC ¯treated rat (1)
ラットの飼育方法
実験動物としてはSD rat (12w)maleを用いた。ラットへの水の与え方は経口と腹腔内投与の両方で行った。経口投与用には0,22μmフィルター
で滅菌したMACを用いた。その一方で、コントロール群には、備え付けのDWを投与した。腹腔内投与は10×PBSに対してMACもしくは
培養用DWを1×に希釈して用いた(1ml×2/day)。水交換と注射は朝と夜の1日2回ずつ行った。
実験期間
試験開始から3日目と7日目で評価した。コントロール群(n=2)と試験群(n=2)を1回の評価で使用した。
実験方法
ラットの心採血(4ml)を行い、血液を15mlチューブに加えた。このチューブに1/5倍量のHetaSep(800μl)を加えてよく混合し、
インキュベート(37℃,over 2h)した。その後、赤血球層の分離確認を行った。2時間後に、リンパ球成分がチューブ周辺に、赤血球成分が
チューブ中央に凝固したため、この時点でピペットで約2mlのリンパ球成分を分離した。次に、リンパ球成分を15mlチューブに2ml/sampleで
回収、遠心(3,000 rpm, 8min, RT)した。PBS(RT)で30μl/sampleに調整してエッペンチューブに30μl/ tubeで分注、余りはコントロール用に
用いた。IOTest(30μl)を各チューブに加え、ピペッティング(Sample:IOTest = 1:1)した。その後、抗体反応を20min/RTで行い、
FACS buffer(1×)で洗浄し、遠心(3,000rpm, 5min, RT)した。上清を除去後、遮光下でVersaLyse(500μl/tube)を加え、RTで10min
静置した。その後、総細胞数カウントとFACSによる免疫細胞比率の計測を行った。
結果
FACS解析の結果を図1に示す。また、図2に示すように、MAC投与群でDW投与群と比較して、T細胞、B細胞、NK細胞の全ての増加が
認められた。それぞれの細胞数の増加の割合にはあまり大きな差は認められなかった が、その中でもB細胞のMAC投与群での増加率が
大きかった。
MAC投与ラットでの免疫細胞の増殖率に関する解析(2)
Analysis on the proliferation rate of the immune cells in the MAC-treated rat (2)
この実験では、①原水:MAC作成用原水、②MAC、③MAC+0.22ミクロンフィルター:MACを0.22ミクロンフィルターに通したものの3種類の
水を、 ①の実験と同様の方法でラットに投与し、7日間の飼育後のラット血液リンパ球中の各画分の量の比較を行った。
試験開始7日後の観察では、どの個体も注射の過剰量投与による腹の膨らみや下痢といった症状は認められず元気だった。
結果(7日目)
顕微鏡下での細胞数計測時に②および③を投与した場合にリンパ球数に有意の増加を認めた(図1)。このことから、MACは血中リンパ球数
を増加させる作用を持つことが明らかになった。具体的な総リンパ球数は、①では、50.2x104、②では161x104、③では83x104であり(図2)、
①を1とした時の比率は、②で3.21、③で1.66であった(図3)。すなわち、MACを投与した場合のリンパ球数の増加率は、実験に供した
3個体の平均で321%であった。3種類の水を投与した場合のリンパ球内のT細胞、B細胞、NK細胞数、および①投与群での細胞数を1とした
場合の②および③投与群での各細胞数の比率を図4、図5に示す。図4によるT細胞、B細胞、NK細胞数の比率は、通常のラットで知られている
比率に類似したものであった。図5によると、MAC投与群でのDW投与群に比較したこれら3種類の細胞数の増加率では、B細胞の増加率が
他の2種類の細胞の増加率と比較して大きかった。リンパ球内の各細胞画分のうち、NK細胞数を図6に、その①を基準とした②および③での
比率を図7に示す。図7によると、②でのNK細胞増加率は計測した3個体の平均で348%であった。
実験1と2の結果の比較検討
いずれの実験においても、MACを投与した場合に、MACを加えていない水(DWあるいはMAC作成用原水)を投与した場合と比べて、
血液中にT細胞、B細胞、NK細胞の全てが増加していた。これは、MAC主要 成分であるガス体にリンパ球増殖促進作用のあることを
示している。また、両実験とも、それぞれの細胞数の増加の割合にはあまり大きな差を示さなかったが、その中でもB細胞の増加率が
大きい特徴を示した。
MAC添加培地中でのマウスiPS細胞の増殖率に関する解析
Analysis on the cell proliferation rate of the mouse iPS cells cultured in the medium containing MAC
培養方法
胎仔マウス繊維芽細胞(MEF細胞)を10μg/mlのマイトマイシンC(Wako;134-07911)で処理し、0.1%ゼラチンコートディッシュ上に
マイトマイシン処理したMEF細胞を30×104細胞撒き、フィーダー細胞とした。凍結マウスiPS細胞は液体窒素から起こして3回以上継代後、
本実験を行った。翌日、フィーダー細胞上にマウスiPS細胞を約100細胞/mm2となるよう細胞を撒いた。薬剤テストはマウスiPS細胞を撒いた
翌日から開始し、試験期間は細胞がコンフルエントになるまで行った(3-6日間)。試験期間中は、2種類の培地を毎日交換し、培地は
その都度調整した。
実験結果の評価
粉末培地の溶媒をMACにした培地を用いた場合に視覚的な細胞増加が認められた(図1)。また、維持培養3-5日目の細胞数をカウントした
ところ、MAC含有培地を用いた場合に有意な細胞数増加が認められた(図2a,b)。一方、維持培養5日目のMAC添加培地で培養した細胞群を
未分化マーカー(GFP)がノックインされたマウスiPS細胞で観察したところ、コロニーの広範囲でGFP発現が確認された(図3)。
これらの結果から、MACは、DWを溶媒にした時と比べて細胞数を増加させる働きがあることが明らかになった。また、MAC添加によって
増加した細胞群では、維持培養5日目においても未分化マーカー発現が認められたことから、MACは多分化能を維持した状態で早急な
iPS細胞の増殖を可能にしていると考えられる。
培地
1LのDWまたはMACに12.5gのGlasgow minimum essential medium (Sigma; G6148)と2.75gのSodium bicarbonate (Sigma;S5761)を加え攪拌した。
調整液に終濃度0.1mM MEM Non-Essential Amino Acids Solusion (Gibco;11140) と1mM Sodium pyruvate solution (Sigma;S8636)、
1% Fetal bovine serum (CCB;171012)、1% PenicillinStreptomycin (Gibco;15140)、5.4% Knockout Serum Replacement (Gibco;10828)、
0.1mM 2-Mercaptoethanol (Wako;137- 06862)、2000U/ml Leukemia inhibitor factor( Millipore;ESG1107)を加え、0.22μmフィルターで濾過滅菌し
細胞維持培地とした。
MAC添加培地中でのマウスES細胞の増殖率に関する解析
Analysis on the cell proliferation rate of the mouse ES cells cultured in the medium containing MAC
実験方法
0.1% gelatin-coated 96-well flat plateを用意し、1wellにmES細胞を一つのwellに10000細胞と2000細胞となるよう播種した。播き直した日は通常維持
培地でリカバリーした。播き直し翌日より、培地交換と同じ要領で薬剤暴露を開始した。培地交換は1日目と2日目の2回行った(測定当日は
実施せず)。測定時は新鮮な通常維持培地にCCKを混和し、100μl/wellでCCK反応を開始させ、CCK反応のタイムコースでのプレートリーダー
による測定を行った。
※CCK反応は細胞密度に相関しているため、事前に解析前の細胞密度を撮影し、予察的に行った段階希釈データと比較 することで解析すべき時間帯の前後に焦点を当てた。
備考)第1回目のAPテストでは、播き直しの細胞数を10000細胞と2000細胞で実験を行ったが、翌日の細胞観察で予想以上多くのにコロニーの存在が認められた。
そこで第2回目のAPテストに際しては5000細胞と1000細胞で播き直しを行った。第1回目のテストでは薬剤暴露を3日間行い、第2,3回目のテストでは2日間の暴露を行った。
結果
上記のように独立した3回の実験を行ったが、キット反応2時間と4時間のいずれの場合でも、MAC添加培地で培養した細胞数の方がDW添加
培地で培養した細胞数よりも有意に多かった(表1)。その細胞数の比率は、播き直しを5.000または1.000細胞で行った群の平均約1.55に
対して、播き直しを10.000または5.000細胞で行った群の平均約1.35よりも高かった(図1)。播き直しを10.000または5.000細胞で行った
群では、解析時点でMACとDW添加培地で培養した両細胞群で細胞数が飽和に達していたため、明瞭な結果が得られなかった可能性が
考えられる。一方、播き直し細胞数を5.000もしくは1.000細胞で行った群では、両細胞群で細胞数が飽和に達していなかったため、
コンスタントにMAC添加群の方で高い数値が得られた。
MAC添加培地中での繊維芽細胞増殖促進作用に関する実験
Experiments on the proliferative effect of the fibroblast cultured in the medium containing MAC
実験方法
凍結保存されたマウス繊維芽(MEF)細胞を終濃度10%FBSで調整したDMEM(High Glucose)で培養した。培地交換は3日に1回行い、
コンフルエントの時点で継代を行った。凍結細胞を起こしてから継代を3回以上行ってから本実験に用いた。
本実験はまず、12ウェルプレートにMEF細胞を1ウェルに1万細胞となるように継代を行った。継代翌日、MEF細胞をPBSで1度洗浄し、
DWとMACを用いて終濃度10%FBSとPenicillin/Streptmycinで調整したDMEM(High Glucose)を加えた。MACを加えた日を0日目として、
3日目に解析を行った。培地はMACを加えてから毎日交換した。
細胞数測定は0.25%トリプシンを加え、トリパンブルー染色によって生細胞のみを数えた。
結論
これら2回の実験結果から、MACには、繊維芽細胞増殖促進作用のあることが示唆された。その増殖率はDWを培地に加えた場合と比べて
125-200%であった。実験結果に認められた多少のばらつきは、実験に用いた細胞のロットの違いによるもの、あるいは実験条件の揺らぎなど
に起因すると考えられる。
繊維芽細胞は上皮でのコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などを作り出す働きがある。また、コラーゲンを繊維束にし、真皮構造を形成
する役目を持つ。紫外線を多量に浴びたり老化が進むと、規則性をもった繊維が生成できなくなり、シワやたるみなどが生じる。
繊維芽細胞増殖機能を持つMACが、このような皮膚の老化に対する有効な抑制効果を示すことが期待される。
マウス血管内皮細胞株(MAEC)を用いたMACの抗酸化作用の検討
Ana l ysis on the ant iox idant effect of MAC using the mouse macrovascul ar endothe l ia l ce l l s (MAEC)
MAC、ナノバブル水(NB)、水素ナノバブル水(H2NB)をそれぞれ用いて、M199培地(SIGMA)を作製し、10%ウシ胎児血清、100IU/ml
ペニシリン、及び100μl/mlストレプトマイシンを加え、培養用培地とした。それぞれの水を用いた培地でMAECを24時間培養した後、新鮮な
培地に交換してさらに2時間培養した。その後、30μg/mlアンチマイシンを各々の培地に添加し、30分間培養した。対照として、溶媒に用いた
エタノールを、アンチマイシン溶液に含まれる用量と同量である0.06v/v%になるように加えた。アンチマイシンは、ミトコンドリアの
電子伝達系を抑制することにより細胞にROS(活性酸素種)を産生させる作用があることが知られている。エタノールは一般にアンチマイシン
の溶媒として用いられるもので、その溶媒の影響を知るためにアンチマイシンを含まないエタノールのみを加えた場合についてもテストした。
産生されたROSの量を知るために、蛍光強度を指標として、その蛍光強度を有する細胞の数を計測した。具体的には、ROSを検出するための
プローブとしてCM-H2DCFDAを用い、各細胞からの蛍光の強度をフローサイトメーター(VantageSE,Becton Dickinson)により検出した。
ROSの検出結果を図1に示す。図1の各グラフは、ある蛍光強度を示す細胞数を示すものであり、MFIの値は平均蛍光強度を示す。NB(上段)
を用いた培地でMAEC細胞を培養した場合には、無刺激時(左列)と溶媒コントロールであるエタノールのみを添加した場合(真中列)の
間で平均蛍光強度に殆ど変化が認められなかった。その一方、ROS産生作用をもつアンチマイシンを添加した場合(右列)には平均蛍光強度
が顕著に増強した。これに対してMAC(下段)を用いた培地でMAEC細胞を培養した場合には、無刺激とアンチマイシン添加のいずれの場合
でも、NBを用いた培地で培養した時よりも低い平均蛍光強度が得られた。また、H2NB(中段)を用いた培地で培養した場合とMACを用いた
培地で培養した場合とを比較すると、MACを用いた培地で培養した時の方が、無刺激の場合、エタノールのみ及びアンチマイシンを添加
したいずれの場合においても低い平均蛍光強度を示した。この結果は、MACに強い抗酸化作用のあることを示している。
酸化ストレス負荷下での、MAC添加培地中で培養した
マウス血管内皮細胞株(MAEC)から産生されたATP量の解析
Analysis on the levels of ATP produced by the mouse macrovascular endothelial cells (MAEC)
cultured in the MAC-containing culture medium under the oxidant stress
MAECで、酸化ストレス負荷時に低下するミトコンドリアの機能に対するMACの作用の確認のために、細胞内ATP産生についての検討を
行った。MAEC細胞は、上記実験の場合と同様に、MAC,NB,H2NBを用いて作製した培養用培地中で培養した。それぞれの水を用いた
培地でMAECを24時間培養した後、それぞれの水を用いた新鮮な培地に交換してさらに2時間培養した。次いで、50μg/mlアンチマイシン、
0.06v/v%エタノール、500μ mol/L過酸化水素をそれぞれの培地に添加した。また、抗酸化作用のコントロールとして、広汎な活性酸素種に
作用する抗酸化剤であるN–アセチルシステイン(NAC)を用いた。抗酸化作用のコントロール用の培地は、通常の水を用いて作製した。
この培地でMAEC細胞を24時間培養し、通常の水を用いた新鮮な培地に交換して、さらに2時間培養した。次いで、NACを終濃度が5mmol/L
となるように、アンチマイシンあるいは過酸化水素水処理の30分前に培地に添加した。その後、細胞内のATP量変化をルシフェラーゼ活性を
指標として測定した(ATP lite, Parkin Elmer)。
細胞内ATP量の測定結果を図1に示す。NB含有培地で培養した細胞では、ATP量は、エタノール処理と、アンチマイシン処理、過酸化水素
処理の全てで、無刺激の場合と比較して低下した。この結果から、エタノール、アンチマイシン、過酸化水素は、ATP産生活性の抑制効果を
有することが明らかとなった。アンチマイシン処理培地で培養した細胞では、過酸化水素処理培地で培養した細胞よりも強いATP産生活性の
低下が認められた。H2NB、MACのそれぞれを用いた培地中で培養し、いずれの処理を行った場合の細胞でもATP産生活性の増加が
認められた。すなわち、H2NB、MACは、アンチマイシン等によるATP産生活性の抑制効果を、抗酸化剤であるMACと同等もしくはそれ以上
に低減させることが明らかになった。さらにMACは、エタノールまたは過酸化水素で処理した場合に、H2NBよりも有意にATP産生活性の
抑制効果を低減させた。
概要
先制的自己再生医療向けた骨の自己再生促進因子、MPP1・MFP25について
真珠の粉・貝殻から骨が形成された (Westbroek and Marine, 1998)
貝殻中に骨形成成分が含まれるMPP1・MFP25タンパク質発見 (Samata et.,2008)
カキの貝殻中から、骨の石灰化を起こす2種類の糖タンパク質を発見した。哺乳類よりもはるかに下等
な軟体動物から骨形成に関与する成分が発見されたことは新鮮な驚きであるとともに、これらの成分を
用いて新たな骨再生への道が開かれることが期待される。
骨再生医療
現状
1. 患者の幹細胞などを使って体外で骨を作らせ移植する。
2. 患者の体内で、幹細胞から骨芽細胞を作ることを促進させて骨を作らせる。
3. 人工骨を患部に入れて、石灰化を促進する。
BRF (bone regenerating factor: 骨再生因子)
骨の再生医療への貝殻成分の適用
1. 骨の再生に骨を持たない貝殻を用いるという全く新しいコンセプトに基づく。
2. カキの貝殻中から発見した2種類の自己再生促進因子、MPP1・MFP25タンパク質を患部に投与して、石灰化を促進する。(前臨床段階)
3. 幹細胞を使う治療に比べて、簡便な手法である。
4. カキ殻等の廃棄物から生産できるため、製品の製造コストが極めて安価である。
先制的自己再生医療向けた、歯・骨自己再生促進因子
The bone and teeth regeneration factors as a part of the preemptive self-regenerative medicine
本研究の目的は、細胞の自己再生を促すMAC用いて、ミトコンドリアを活性化させた骨芽細胞からオステオカルシンを始めとした骨形成
基質成分の分泌を促進させることにある。また、MACの作用を補完する可能性を持つBRFを用いた骨再生を試みる。1998年に、貝殻真珠層
から骨が再生されたという報告がなされた(Westborek and Marine,1998)ことから、貝殻中に骨形成成分が含まれる事が明らかになった。
我々が2008年にカキ貝殻中から発見した糖タンパク質MPP1・MFP25(Samata et.,2008)にその後、骨形成機能が確認されたため、
この成分が、上記の骨形成成分の正体である可能性が示された。(前臨床段階)
現在、骨の再生医療としては、人工骨の移植が主体である。この他の骨の再生医療としては、幹細胞を用いて体外で作成した骨を移植
したり、皮膚などからiPS細胞を作製し、骨の基になる骨髄細胞に成長させ、土台となるセラミック粉末と一緒に移植する等の研究が
行われている。これに対して、上記BRF(MPP1・MFP25)の原材料はカキやホタテガイ貝殻等の産業廃棄物からの抽出物由来であるため、
生産コストは極めて安価であり、細胞を用いる治療法と比較してはるかに簡便である。
また、MPP1の構造は、ヒトの歯の象牙質中に含まれるフォスフォフォリンに類似している。フォスフォフォリンは、象牙質を作る基になる成分として
非常に重要なもので、この成分を虫歯に埋め込んで虫歯の治療を行う試みも始まっている。フォスフォフォリンは象牙質中にごく微量しか含まれて
いないため、その単価が非常に高く、利用には限界がある。このため、フォスフォフォリンの代用として、虫歯の治療・歯の再生医療へのBRFの
展開の可能性も期待される。
医療分野
Medical field
MACの人体への作用機序の項に示したように、ミトコンドリア活性の上昇に伴って病気になりにくい体を作り、老化の進行を緩やかにする
ことで、高齢化社会での健康寿命の延長に寄与できます。
ミトコンドリアは、細胞死を実行する死の装置の根幹を制御しているため、MACは、癌細胞のアポトーシス促進薬としての可能性を秘めて
いると思われます。また、MACは免疫機能を大きく増進させる機能を持つため、抗PD1抗体などと組み合わせた免疫療法は⾮常に有効なもの
となることが期待されます。また、MACによる肝機能の亢進を通じた糖鎖栄養素の賦活は、転移した癌細胞が、機能の上昇した健全な細胞内
の糖鎖に触れることから免疫系の発動を呼び起こして、癌転移を防ぐ効果が予測されます。また、転移性の癌細胞の糖鎖に単糖が付加しやすく
なり、原発巣の癌細胞同⼠が結合力を増して⾎液中への癌細胞の流出が抑えられ、流失しても、⾎管壁に付着することが困難になり、他組織
に侵⼊する事が少なくなる可能性も想定できます。
農業分野
Agricultural sector
ミトコンドリア活性組成物質を水中にマイクロバブルあるいはナノバブルで溶存させ、①細胞中のATPやその他の酵素活性の上昇を通じた
細胞分裂の促進による作物の収穫量増加と、②細胞中の酵素活性の上昇による、作物の風味向上、収穫後の保存期間の延長を目指すという、
農業においては全く新しい試みを検討中です。
明治大学農学部で行われた予察的な実験からは、農業用の水性変換装置で生産したコマツナの水耕栽培の場合に、わずか週2回、20分程度の
暴露でも、水道水およびマイクロバブル水での水耕栽培の場合と比較して、120%の成長促進が認められました。この実験は予察的なもの
とし単一条件で行ったもので、最適条件の検討は行われてはいません。一方、iPS細胞やES細胞の培養実験では、細胞培養用に調整した
MACを用いた場合に、170%~350%の細胞増殖促進効果が現れていることから、最適条件の詳細な検討により、作物のより高い成長促進効果
が得られる可能性が大きいと思われます。また水耕栽培の植物工場の液肥由来の発癌物質、亜硝酸態窒素を減量し、食の安全を担保しながら、
育成を保持、促進する水耕栽培用の液肥の開発も研究中です。
冷凍分野
Frozen category
鮮魚の鮮度低下は、微生物の増殖が主な原因ではなく、より初期の酵素による自己消化の段階ですでに始まっています。自己消化の始まった
細胞はもろく、細胞に負担をかける冷凍の工程には不向きといえます。一方、細胞内のATP量が多ければ酵素による自己消化は抑制されます。
自己消化が進まない内に急速冷凍を行えば、細胞膜の損傷等の細胞の萎縮破壊を最小限に止めることができるとともに、細胞を良好な状態に
維持できるため、食感も保たれることになります。魚のうまみの成分イノシン酸は、ATPからの化学変化で生じます。ミトコンドリア活性が
上がってATP量が増大すればイノシン酸の量が増え、風味が増して製品の質が向上し、市場価値が上がるというわけです。
MACを用いて、佐渡島において数度に渡って行った鮮魚の鮮度試験では、冷蔵保存後の鮮魚の良好な保存状態と風味向上が認められ、
漁業関係者から高い評価を頂きました。
会社概要
社名
アクア・ゼスト株式会社
AQUA ZEST Corporation
設立
2011年11月22日
Established on 22th November, 2011
代表者
代表取締役 亀井一郎
President: Mr. Ichiro Kamei
資本金
1,350万円
事業内容
ライフサイエンス事業における研究開発
Research and development in the field of life sciences
主席科学顧問
麻布大学名誉教授 佐俣哲郎
Honored Prof. of Azabu University, Dr. Tetsuro Samata
所在地
本社・植物工場
〒214-0034神奈川県川崎市多摩区三田2-3227 明治大学地域産学連携研究センター 305
Head Office and Plant Factory
Technology Incubator of the Center for Collaborative Innovation and Incubation, Meiji University, 2-3227 Mita, Tama-Ku, Kawasaki, Kanagawa, 214-0034 JAPAN
細胞科学・免疫学研究準備室
〒152-0003東京都目黒区碑文谷3−12−5 YUI HOUSE B-1
Preparatory office for the researches of cell science and immunology
YUI HOUSE B-1, 3−12−5 Himonya, Meguro-Ku, Tokyo, 152-0003 JAPAN
受賞歴
公益財団法人 川崎市産業振興財団主催
81回 川崎ビジネスオーディション ビジネスシーズ賞&はまぎん賞(横浜銀行賞)
Award of Buisiness Siez and Yokohama Bank A public interest incorporated foundation organized by Kawasaki Industry Foundation
81th Kawasaki Business Ordition
「第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017) 後援:経済産業省」において、
大手企業からの人気上位100社「TOP100 STARTUPS」に選出
At "The 5th Innovation Leaders Summit (ILS2017), sponsored by Ministry of Economy, Trade and Industry",
we were selected as one of the top 100 most popular venture companies (TOP 100 STARTUPS") from major companies.
所属団体
かわさき水ビジネスネットワーク
Kawasaki Business Network for Water
http://www.kawabiznet.com